リスティング広告のアカウント構成で押さえるべきポイントをご紹介

リスティング広告において
アカウント構成は
広告の成果を大きく左右する要素です。

リスティング広告におけるアカウント構成とは、
キャンペーン、広告グループ、キーワード、広告という4つの階層で構成され
それらをどのように構成していくのかというものです。

たとえば
昔は
1キーワード1広告グループという
アカウント構成が主流でした。

一方
今は
出来るだけデータをためるために
キャンペーンや広告グループを細分化せずに
できるだけ1つにまとめていこうという流れが主流です。

ですが
かといって
なんでもかんでも
1つにデータをまとめてしまうと
適切な広告運用ができません。

キャンペーン、広告グループ、キーワード、広告という4つの階層は
それぞれ異なる役割や設定項目を持ち、
それらを理解し適切に設計することで
広告運用のパフォーマンスを効果的に高めることができます。

また、自動入札を適切に動かすために
機械学習を活用しやすいようなアカウント構成にも対応する必要があります。

しかし、アカウント構成は
商材やサービスに合わせてその都度考える必要があり
非常に奥が深く完全に理解するのは骨が折れます。

どんな時でも通用するアカウント構成は存在しません。

そこで、この記事では
アカウント構成の良し悪しを分ける3つのポイントと作成手順を、
初心者にもわかりやすく解説していきます。

最後まで読んでいただければ、
初心者の方でも迷わずアカウント構成を作り始めることができるようになりますので
「成果が出るアカウント構成を知りたい」という方は
ぜひ最後まで記事をご覧くださいね。

アカウント構成の良し悪しを分ける3つのポイント

アカウント構成の良し悪しを分けるポイントは以下の3つです。

  1. 日々の運用・改善がしやすいか
  2. ユーザーが求める情報と広告がマッチするか
  3. 機械学習を有効活用できるか

それぞれ具体的に見ていきましょう。

日々の運用・改善がしやすいか

リスティング広告はアカウント構成を作成し、入稿して終わりではありません。
成果を最大化するためには、日々の運用と改善が必要です。

そのために
日々の運用と改善がしやすくするなるようなアカウント構成にする必要があります。

そのような管理がしやすいアカウント構成になると
下記のようなことができるようになります。

  • どの広告が最適なコンバージョンをもたらしているかを特定しやすくなる
  • 入札などの変更を簡単にできる
  • 予算と費用を効率的に管理できる
  • 具体的なキーワードを素早く特定することができる

そうはいっても
なかなか文章だけでは伝わりにくいので
運用改善がしやすい例と
運用改善がしにくい例を
具体的に説明していきましょう。

運用・改善しにくい例

運用・改善しにくいアカウント構成とは
以下のような特徴があります。

  • キャンペーン分け方に意図がない
  • ニーズが異なるユーザが検索するキーワードを同じ広告グループにまとめている
  • キャンペーンや広告グループの名前の付け方に意図や統一感がない
キャンペーン分け方に意図がない

まず、キャンペーンの分け方に意図がない場合
適切にキャンペーンが分かれていないことが多く
それぞれの費用対効果を確認し、日予算を管理することが難しくなります。

ニーズが異なるユーザが検索するキーワードを同じ広告グループにまとめている

また、
空気清浄機能付きの高機能なエアコンを求めているユーザーと、
とにかく安いエアコンを求めているユーザーではニーズが異なります。

ユーザーのニーズが異なるということは、
ユーザが求める内容や興味を持つ内容が異なるはずですので
それぞれに応じた広告文を設定しなければいけません。

広告グループと広告はセットになるため
ユーザーのニーズごとに広告文を出し分けるためには
広告グループを分ける必要性があります。

キャンペーンや広告グループの名前の付け方に意図や統一感がない

また
Google広告では
管理画面で分析するだけでなく
広告運用のデータを1度CSVでダウンロードして
Excelでデータ分析することが良くあります。

そういう場合に
さらにキャンペーンや広告グループ名の付け方に意図や統一感がないと、
Excelなど表形式で管理する手間がかかってしまいます。

以上のような特徴を持つアカウント構成だと
予算管理がしにくいだけでなく、
どのキーワードの属性が獲得につながりやすいか分かりにくいため、
運用・改善がしにくいといえます。

運用・改善しやすい例

一方、運用・改善しやすいアカウント構成とは
以下のような特徴があります。

  • 意図があるキャンペーン構築
  • ニーズに応じた広告グループ構築
  • 統一感のあるキャンペーン名や広告グループ名

このアカウント構成では、
キャンペーンは商材やサービスごとに分けられるなど
意図があるキャンペーン構築になっており、
予算管理や費用対効果の分析がしやすくなっています。

また
キーワードの属性やリンク先URLごとに分けるなど
ユーザーのニーズに応じた広告グループ設定ができていれば
ユーザーのニーズに合わせて、広告文を出しわけることもできます。

さらに
統一感のある命名規則で
キャンペーンや広告グループ名を名付けることで、
管理画面やExcelでデータが分析しやすくなります。

このように、運用・改善しやすいアカウント構成は、
階層ごとに適切に分けることで、
広告運用の効率や効果を高めることができます。

ユーザーが求める情報と広告がマッチするか

アカウント構成のもう一つの重要なポイントは、
ユーザーが求める情報と広告がマッチするかどうかです。

ユーザーは検索するキーワードによって、異なる意図やニーズを持っています。

そのため
そのニーズに合わせて広告文を出し分けてあげることが必要ですが
適切に広告グループが分かれていないと
ユーザーが求める情報と広告がマッチしないということがありえます。

そのため、キーワードの属性に合わせて
広告文やリンク先URLを設定することが必要です。

例えば、
エアコンを広告で訴求したい家電量販店の場合、
以下のようなキーワードが考えられます。

  • エアコン
  • エアコン おすすめ
  • エアコン 価格
  • エアコン 購入
  • エアコン 取り付け

これらのキーワードは
すべてエアコンに関するものですが、
ユーザーの意図やニーズは異なります。

例えば、「エアコン」というキーワードは、
エアコンについて調べたいだけかもしれませんし、
エアコンを買いたいと思っているかどうかも分かりません。

一方、「エアコン 取り付け」というキーワードは、
エアコンをすでに購入していて
取り付けを依頼したいだけと思っている可能性もあります。

このように、
キーワードによってユーザーの意図やニーズは変わります。

そのため、同じ広告文やリンク先URLを設定してしまうと、
ユーザーの求める情報と広告がマッチしなくなってしまいます。

ユーザーは
自分の求める情報とマッチしない広告をクリックしないかもしれませんし、
クリックしても
リンク先のページで欲しい情報がなければ
すぐに離脱してしまい広告費の無駄につながります。

そこで、良いアカウント構成では、
キーワードの属性に合わせて広告グループを分け、
それぞれに適切な広告文やリンク先URLを設定することが重要です。

これにより、ユーザーが求める情報と広告がマッチしやすくなります。

ユーザーが求める情報と広告がマッチしない例

ユーザーが求める情報と広告がマッチしないアカウント構成では
以下のような特徴があります。

  • 広告グループがキーワードの属性に合わせて分けられていない
  • 広告文やリンク先URLがすべて同じである
  • リンク先URLがトップページである

さっきの例でいうと
「エアコン 価格」

「エアコン 取り付け」ではニーズが異なる検索キーワードです。

そのため、
それぞれのニーズに合わせて
広告グループを分割する必要があります。

ただ
広告グループを分けたところで
それぞれの広告グループで
同じ広告文やリンク先URLを設定しているのでは
意味がありません。

ましてや
すべてTOPページになっているなどは論外で
キーワードに合わせて
広告文やリンク先URLを
適切に設定する必要があります。

このように
ユーザーが求める情報と広告がマッチしないアカウント構成だと、
広告のクリック率やコンバージョン率が低下し、広告費用の無駄につながります。

また、Google広告では広告の品質スコアという指標があり、
ユーザーが求める情報と広告がマッチしないと
品質スコアが下がり、不必要なクリック単が必要なるリスクがあります。
入札単価を下げることができます。

ユーザーが求める情報と広告がマッチする例

一方
ユーザーが求める情報と広告がマッチする
アカウント構成は次のような特徴があります。

  • 広告グループはキーワードの属性やリンク先URLごとに分けられている
  • 広告文はキーワードの意図やニーズに応じて変えられている
  • リンク先URLはキーワードに関連するページに設定されている

このように、
ユーザーが求める情報と広告がマッチするアカウント構成は、
広告のパフォーマンスを高めるだけでなく、
品質スコアを上げて入札単価を下げることもできます。

機械学習を有効活用できるか

最後のポイントは、機械学習を有効活用できるかどうかです。

リスティング広告では、
GoogleやYahoo!が提供する自動入札戦略を利用することで、
機械学習によって最適な入札単価を設定してくれます。

これにより、人間では難しい細かな入札調整や
時間帯別・デバイス別・地域別などのターゲティング設定を
GoogleやYahooで自動で行ってくれます。

しかし、自動入札戦略を適切に利用するためには、
アカウント構成にも工夫が必要です。

たとえば
Googleでは「hagakure」というアカウント構成のガイドラインを提供しており、
以下のようなポイントを推奨しています。

  • キャンペーンは目的や予算ごとに分ける
  • 広告グループはキーワード数や入札単価ではなく、リンク先URLごとに分ける
  • キーワードは部分一致やフレーズ一致で登録する
  • 広告文はレスポンシブ広告を利用する

これらのポイントは、
自動入札戦略が効果的に動くために必要な条件として
Googleが推奨しているものです。

自動入札はアカウントにたまったデータに基づき運用するため
最適な入札単価を決めるためには
十分なデータ量や信頼性のあるデータが必要です。

そのため、
キャンペーンや広告グループを細分化しすぎると、
データ量が少なくなり、自動入札戦略が正しく機能しなくなります。

また、キーワードのマッチタイプを
完全一致ではなく
部分一致やフレーズ一致にすることで、検索ボリュームを確保し、
自動入札戦略が最適な入札単価を見つけやすくなります。

さらに、レスポンシブ広告を利用することで、
広告文のバリエーションを増やし、
ユーザーのニーズに合わせた広告を表示できます。

機械学習を有効活用できない例

それでは自動入札が適切に運用できないアカウント構成とは
どのようなものなのでしょうか?

機械学習を有効活用できず
自動入札が適切に運用できないアカウント構成とは
以下のような特徴があります。

  • キャンペーンや広告グループが細分化されすぎている
  • キーワードのマッチタイプが厳しすぎる
  • 広告文が固定されている

たとえば
キャンペーンや広告グループを細分化することで
1つのキャンペーンや広告グループにたまるデータ量が少なくなり
自動入札戦略を動かすための十分にデータを集められず、
最適な入札単価を設定できません。

また、完全一致を多用するアカウント構成など
キーワードのマッチタイプが厳しすぎると、検索ボリュームが低くなり、
広告の表示回数やクリック数が減ってしまい
その結果、十分なデータが集まらないことにつながります。

また
レスポンシブ検索広告で広告文が固定されている場合
ユーザーのニーズに合わせた広告を表示できず、
クリック率や広告表示回数が低下してしまいます。

このように
機械学習を有効活用するためのデータがたまりにくい
アカウント構成だと
自動入札が運用しにくい状況になります。

機械学習を有効活用できる例

そのため機械学習を有効活用できるように
以下のようなアカウント構成に変更しましょう。

  • キャンペーンは目的や予算ごとに分けられている
  • 広告グループはリンク先URLごとに分けられている
  • キーワードのマッチタイプは部分一致チやフレーズ一致になっている
  • レスポンシブ広告の広告文が固定されていない

このように、機械学習を有効活用できるアカウント構成は、
自動入札戦略が最適な入札単価を設定しやすくなります。

また、キーワードのマッチタイプを緩めることで、検索ボリュームを確保し、
広告の表示回数やクリック数を増やすことができます。

さらに、レスポンシブ広告を利用することで、広告文のバリエーションを増やし、
ユーザーのニーズに合わせた広告を表示できます。

アカウント構成の作成手順

ここまで、アカウント構成の良し悪しを分ける3つのポイントについて説明してきました。

では、実際にアカウント構成を作成するときには
どのような手順で進めると良いでしょうか?

アカウント構成の作成手順は以下のようになります。

  1. キャンペーンを分ける
  2. 広告グループを分ける
  3. キーワードを登録する
  4. 広告文を作成する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. キャンペーンを分ける

キャンペーンは、目的や予算ごとに分けることが推奨されます。

例えば、以下のような基準で分けることができます。

  • 商品やサービスのカテゴリ
  • ユーザーの購買段階(ブランド名や商品名など
  • 地域や言語
  • デバイス(PCやスマホなど)
  • 入札戦略(自動入札や手動入札など)

上記のような基準でキャンペーンを分けることで、
以下のメリットがあります。

  • 予算管理や費用対効果の分析がしやすくなる
  • 入札戦略やターゲティング設定が柔軟にできる
  • アカウント全体のパフォーマンスが把握しやすくなる

また
キャンペーンを分ける際には、以下の点に注意しましょう。

  • 細分化しすぎないこと:データ量が少なくなり、自動入札戦略が機能しなくなる可能性がある
  • 命名規則を統一すること:管理画面やExcelで見やすくするため

2. 広告グループを分ける

広告グループは、リンク先URLごとに分けることが推奨されます。

例えば、以下のような基準で分けることができます。

  • 商品やサービスの詳細ページ
  • 特集やキャンペーンページ
  • お問い合わせや資料請求ページ

上記のように広告グループを分けることで、
以下のメリットがあります。

  • ユーザーのニーズに合わせた広告文やリンク先URLを設定できる
  • コンバージョン率や品質スコアを高められる
  • 広告グループごとのパフォーマンスが把握しやすくなる

広告グループを分ける際には、以下の点に注意しましょう。

  • キーワード数や入札単価ではなく、リンク先URLで分けること:自動入札戦略が効果的に動くため
  • 命名規則を統一すること:管理画面やExcelで見やすくするため

3. キーワードを登録する

キーワードは、広告グループに紐づけられる検索ワードのことです。
キーワードを登録することで、ユーザーが検索したときに広告が表示されるかどうかが決まります。
キーワードにはマッチタイプという設定があり、広告が表示される範囲を調整することができます。

キーワードを登録する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 部分一致やフレーズ一致を活用すること:検索ボリュームを確保し、自動入札戦略が最適な入札単価を見つけやすくするため
  • 除外キーワードを設定すること:不適切な検索ワードで広告が表示されないようにするため
  • キーワードの重複や競合を避けること:品質スコアや入札単価の低下を防ぐため

4. 広告文を作成する

広告文は、ユーザーが検索結果画面で見る広告の文章のことです。
広告文は、ユーザーのクリックを誘導するための重要な要素です。

現在、
広告は
自分で複数の見出しや説明文を登録し、Googleが自動的に最適な組み合わせを表示する
レスポンシブ検索広告のみとなっています。

広告文を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

  • レスポンシブ広告でなるべくピン止めを使用しないこと:広告文のバリエーションを増やし、ユーザーのニーズに合わせた広告を表示できるため
  • キーワードやリンク先URLに関連した内容にすること:品質スコアやコンバージョン率を高めるため
  • ユーザーの興味や関心を引くような内容にすること:クリック率を高めるため

ただし例外もあり

上記が基本的なアカウント構成ですが
当然、例外もあります。

たとえば
マッチタイプですが
僕が管理している広告アカウントでも
完全一致をベースで運用している広告グループもありますし
レスポンシブ検索広告では
ピン止めをしているケースが多いです。

なので
上記のアカウントの作り方は
あくまで
「Googleの推奨する形でのアカウント構成」
であって
実務で最適なアカウント構成は
その商品のジャンルや競合、市場の状況などによって
大きく変わってきます。

ですので
今回の内容を全て鵜呑みにすることなく
それぞれのアカウントで
最適なアカウント構成を見つけていってください。

まとめ

この記事では、
リスティング広告の基本的なアカウント構成の考え方について説明しました。
アカウント構成は成果を出すためにとても重要な要素です。

以下の3つのポイントを押さえて、良いアカウント構成を作りましょう。

  • 日々の運用・改善がしやすいか
  • ユーザーが求める情報と広告がマッチするか
  • 機械学習を有効活用できるか

また、
アカウント構成については
それぞれのアカウントによって
最適な状況が変わります。

それぞれの運用状況や
運用する商材のジャンルなどによって
運用しやすいアカウント構成を
日々、探求してもらえればと思います。